特集 産婦人科手術のポイント
IV.手術の適応と術式の選択
性器脱垂のとり扱い方
遠藤 幸三
1
1金沢赤十字病院
pp.926-927
発行日 1975年12月10日
Published Date 1975/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205278
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性器脱垂のうち,子宮の脱垂がその主要なものであるが,子宮に限らず腟腔に面している他の器管も脱垂するのでこの名称がある。
図は脱垂する臓器と,それぞれを下から支えている結合織を示している。脱垂するものは,子宮,尿道,膀胱,ダグラス窩,直腸である。それぞれ子宮脱,膀胱脱などというが,ググラス窩の場合は小腸脱(enterocele)と通称されている。正確にはダグラス窩ヘルニアである。性器脱の成因は各部分を支持する結合織が弛緩して支持力が弱化することにあるというのが,私の年来の考え方である。骨盤内の臓器の間の間隙を埋めている結合織をendopelvic fascia (骨盤内筋膜)といい,臓器を定位置から動かないように固定している。全身すべての臓器の周囲に結合織があり,その薄弱な人は臓器の下垂を起こす。子宮脱患者を問診すると,胃下垂や遊走腎のある人が多い。
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