増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?
周産期
症例:胎児付属物➍
大浦 訓章
1
1杉山産婦人科産科・婦人科
pp.169-174
発行日 2017年4月20日
Published Date 2017/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209029
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この画像をどう読むか?
症例
患者 30歳.
妊娠歴 未経妊.
既往歴 特記すべきことなし.
家族歴 特記すべきことなし.
妊娠・分娩経過 自然妊娠.妊娠21週,超音波断層法検査(図1)で胎盤肥厚(5.1cm).内容均一,羊水量正常.妊娠23週まで両側子宮動脈拡張期瘢痕を認めるも,妊娠25週より認めなくなる.妊娠36週まで胎児発育不全,羊水過少なし.胎盤厚は,妊娠23週7.2cm以降,妊娠38週まで7.5cmと変わらず.超音波カラードプラ法検査で胎盤への血流は28週以降母体側に豊富になり,38週左側子宮静脈との連続性が認められた(図2).
妊娠39週2日,誘発分娩にて経腟分娩(2,860g,女児,Apgar score 9/10).児娩出後胎盤娩出前から1,200mL出血.胎盤は娩出したが卵膜はすべて遺残.用手にて剝離する際,血腫280gがみられ,総出血量は1,810mLであった.癒着胎盤の所見なし.胎盤重量は550gで大きさは20×15×2cmと肥厚はなかったが後血腫を認めた.臍帯動脈はpH 7.2,Hb 16.3g/dLに対し臍帯静脈はHb 16.2g/dLと変わらなかったが,血小板数10.2×104/dLと明らかに低下していた.児のHbは16.5g/dL,血小板数は11.0万/dLであった.産後4日目,児の血小板数は16.5万/dLと正常となり,母児ともに退院した.
Q1 胎盤肥厚を起こす疾患を挙げよ.
Q2 妊娠・分娩経過から推定される疾患は何か?
解答,解説は次のぺージに☞
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