総合講座 産婦人科と胆・膵
膵の炎症と腫瘍
古味 信彦
1
,
安倍 文計
1
,
池田 直道
1
,
大田 憲一
1
Nobuhiko Komi
1
1徳島大学医学部第1外科学教室
pp.605-612
発行日 1974年9月10日
Published Date 1974/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205072
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「膵の炎症と腫瘍」について内科的と外科的の両面から原理,考え方を基本として述べるように課題をいただいたのであるが,この大きなテーマも産婦人科と密接な関係があると思われる点は少ないように思う。しかし膵の炎症と腫瘍については内科と外科の協力と研究にとどまらず,医学の各分野からの関心とこれら疾患に対する深い理解が必要であり,産婦人科領域も例外ではない。膵炎はともかくとして,膵腫瘍ことに膵癌については早期診断と早期の外科的治療以外に救命の望みはないにもかかわらず,膵が後腹膜に位置する特異な臓器で,診断は今日でも盲点とされ,この方面研究の格段の進歩が期待されているのが現状である。
このような膵疾患の背景にかんがみ,ここでは産婦人科との関連は考慮しながらも,広く膵疾患について重要と思われる点を述べてみたい。しかし全疾患に及ぶことは紙面の都合からも不可能に近いので,膵炎は急性膵炎と慢性膵炎に分けて述べ,膵腫瘍については膵癌を中心として述べ,その他の腫瘍については軽く触れるに止めたいと思う。またこの方面に関係深い教室の症例をも引用して理解の助けとしたい。
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