総合講座 産婦人科と胆・膵
膵の機能と検査
小坂 樹徳
1
Kinori Kosaka
1
1東京大学医学部第3内科学教室
pp.597-603
発行日 1974年9月10日
Published Date 1974/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205071
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膵は強力な消化酵素を含む膵液を十二指腸に外分泌して食物の消化吸収に重要な役割を演じているとともに,インスリン,グルカゴンなど代謝調節にあずかる重要なホルモンを内分泌する特異な臓器である。これら2つの主要な膵機能はともに障害されることも多いが,それぞれ別個に機能異常をしめす場合のあることもまた特徴的である。
膵疾患の診断にあたつては,ほかの臓器疾患時の場合と同じく,問診や理学的所見,一般検査をはじめ膵機能を多岐にわたつて検することも重要であるが,さらに解剖学的位置からくる隣接諸臓器との関係から,胃・十二指腸を始めとする消化管のX線検査,胆のう・胆管,膵管造影,内視鏡および細胞診,膵血管造影,膵シンチグラムなど巾広い諸検査を行なう必要のある場合も少くない。このことは膵疾患における愁訴が不定であり,他覚的所見も特異性に乏しく,かつ決定的な機能検査法にかけることによるものであるが,ここでは本誌の求めに応じ,膵の機能とその検査法の大要について述べることにしたい。
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