巻頭言
新生児の呼吸障害
馬場 一雄
1
1日本大学医学部小児科
pp.477
発行日 1970年6月15日
Published Date 1970/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202150
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新生児期には,胎盤呼吸から肺呼吸への生理機構の大転換が起こるから,この過程に蹉跌を生じて呼吸障害を示す場合が少なくない。たとえば,第一呼吸の開発障害,すなわち新生児仮死は全出生の5パーセント以上に随伴するし,いわゆる呼吸窮迫症候群は死亡未熟児の40パーセントに認められる症状である。
一般に新生児は,酸素欠乏に対して強い抵抗力を持っているが,それでも,無酸素症が直接間接の死因と考えられるものも少なくないし,この時期の無酸素症が原因と考えられる脳性小児まひの比重は非常に重い。
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