研究
子宮頸部疾患に対する凍結療法の応用
滝 一郎
1
,
杉森 甫
1
,
田中 祥照
1
,
浜崎 康夫
1
,
柏村 正道
1
Ichiro Taki
1
1九州大学医学部産科婦人科学教室
pp.437-445
発行日 1973年5月10日
Published Date 1973/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204829
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低温が出血の抑制,腫脹の寛解,麻酔作用などの利点をもつことはかなり以前から知られていた。婦人科領域でも,腟内冷水環流による慢性頸管炎の治療(1883年Openchowski),骨盤内感染に対する下腹部冷却法などの報告がある。この低温の利用はさらに進んで,低温による組織の破壊にまでおよび,現在のいわゆる凍結療法とは0℃以下の低温(特に−20℃以下の超低温)による組織破壊を利用した治療法であるといえよう。婦人科領域では1940年Weitznerがドライアイスを用いて子宮頸部びらんの治療を行なつて以来1)種々の冷媒による凍結療法が行なわれてきた。特にCahan3)がCooper4)によつて開発された液体窒素を用いる凍結療法を子宮頸部に応用して以来2),数多くの基礎的研究,治療報告が相ついでいる。ここでは婦人科領域における凍結療法についてわれわれの知見を混えて総括的に述べてみたい。
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