特集 腫瘍免疫療法の試み
子宮頸部上皮内腫瘍に対するインターフェロン療法
岩坂 剛
1
,
杉森 甫
1
Tsuyoshi Iwasaka
1
,
Hajime Sugimori
1
1佐賀医科大学産婦人科学教室
pp.625-630
発行日 1988年7月10日
Published Date 1988/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207822
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インターフェロン(IFN)には抗ウイルス作用のみでなく,抗腫瘍作用もあることがStranderにより報告されて以来1),多くの腫瘍細胞を対象として,実験室内および臨床の場においてこの抗腫瘍作用の検討がなされている。IFNは現在までのところ,その産生方法の違いにより3種類,すなわち,ヒト白血球IFN (IFN-α),ヒト線維芽細胞IFN (IFN-β),および免疫IFN (IFN-γ)が知られている。
INFの抗腫瘍効果は直接の細胞増殖阻害作用とともに,免疫系の増強効果を介した間接作用の両者の協同作用によってもたらされるといわれている。しかしながらin vivoの実験および臨床治験においてはin vitroで得られた結果から想像されるほどのよい結果が得られないことも事実である2〜4)。この矛盾は抗腫瘍効果が発現するに充分なIFN濃度がin vivoでは得られにくいことに起因していると思われる。この問題はIFNを腫瘍内に直接投与することによって解決されることが実験的に観察されており4),臨床的にも,子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)にIFN—αまたはIFN—βを局所投与することによりよい結果が得られたことが報告されている5,6)。
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