特集 産婦人科の治療その限界と展望
日常臨床上よくぶつかる頑症疾患の治療の限界
産科
減精子症
志田 圭三
1
,
浦野 悦郎
1
Keizo Shida
1
,
Etsuro Urano
1
1群馬大学医学部泌尿器科教室
pp.1066-1068
発行日 1972年12月10日
Published Date 1972/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204714
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精液所見と妊孕数との関係
受胎・妊娠成立には男子側としては活発に活動する精子が1個あれば充分である。事実,精子数ml当り1コに満たぬ臨床的無精子症例にあつてもその頻度は低いが妊娠成立を認めている。しかしながら,現実の問題として,精子数,精子活性が減少すれば妊孕能は減少するものである。McLeadら(1955),Blender (1952)の臨床的観察結果は,精子数では20×106/ml,精子活動率では40%を限界として急激な妊孕能低下がみられることを示している。現在,我国の多くの男子不妊症クリニークでは以上の成績を加案し,男子妊孕能下限について次のようなデータを採用している。精液量 1.5ml総精子数 40×106/ml精子活動率 40% したがつて,不妊カップルにおいて,上記を下廻る精液所見がえられた場合に,不妊の原因が男性側にあると考え,治療の対象とされるものである。
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