特集 妊娠と合併症
一般外科的合併症の取り扱い方
林 四郎
1
Shiro Hayashi
1
1信州大学医学部第1外科学教室
pp.851-856
発行日 1972年10月10日
Published Date 1972/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204685
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はじめに
一般外科の手術に限らず,あらゆる手術はできるだけ全身状態が良好な,手術の対象となる局所病変が軽微な,端的にいえばよい条件下に行なえれば,それにこしたことはないが,現実にはそのような理想的な手術ばかりを期待することはできない。筆者が分担した妊婦に合併する一般外科的疾患に対して,どのような対処の仕方をしたらよいのか,母体と胎児に対する影響,あるいは分娩後の経過も考慮しなければならず,妊娠中でない婦人における同様な疾患に対する態度をそのまま適用できないものがある。この点についてMountSinai Hospitalのスタッフによる単行本1)も出版されており,与えられた紙数でそのすべてに触れることは不可能であるので,日常問題となる代表的ないくつかの疾患,急性虫垂炎,腸閉塞症,潰瘍性大腸炎,痔核,下肢静脈瘤などについて,その概略を述べたい。
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