特集 産科の救急対策
大学・大病院における産科救急の現状と将来
竹村 晃
1
,
佐道 正彦
1
,
大湊 茂
1
,
寺川 直樹
1
Hikaru Takemura
1
1大阪大学医学部産科婦人科学教室
pp.295-300
発行日 1972年4月10日
Published Date 1972/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204584
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
救急医療は,問題の多い現代の日本の医療体系の中でも,最も大きな歪みが端的に現れているもののひとつであり,とりわけ母子にからむ産科救急の実態は,妊産婦死亡率の高さのみから考えても,肌身の寒さを感じさせる。医事訴訟は産婦人科領域に関連するものがはなはだ多い事実,そしてまた産科学は,元来,最近提唱せられている,acute medicineすなわち(動的な管理を必要とする急症医学)の範ちゆうに十分入りうるものであることを考えると,われおれは,産科における救急医療の位置づけが余りにも立ち遅れていることに唖然とさせられる。しからば,われわれは,大学・大病院における救急医療を,社会全体のワク組み内で,また病院という組織体の中で,およそどのように位置づけていつたらよいであろうか?
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.