特集 不妊症の治療--最近の焦点
不妊症の診断から治療へ—治療計画を中心として
鈴木 雅洲
1
,
安部 徹良
1
,
五十嵐 彰
1
Masakuni Suzuki
1
1東北大学医学部産科婦人科学教室
pp.93-97
発行日 1972年2月10日
Published Date 1972/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204554
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はじめに
近年,不妊症に対する社会的関心が急速にたかまつてきている。これは,いわゆる核家族の増加が,一方では産児制限の普及をもたらすとともに,他方では,不妊夫婦における挙児の願望を強め,不妊症治療に対する社会的要求が増大したものともみることができる。他方,このような不妊患者の要求とともに,不妊症に関する基礎的臨床的研究が活発になり,種々の新しい診断法,治療法が開発され,多くの診療機関において,専門的知識をもつた医師によつて運営される[不妊外来」または[不妊クリニーク」が開設され,不妊患者を専門に診療し,かなりの妊娠率の向上がみられるようになつてきている。
しかるに,一方,human reproductionに関して,なお不明の点が多く,また,不妊症の治療法に関しても未解決の問題が多数残されている。したがって,この際,不妊症の治療を特集し,問題を整理することはきわめて意義あることと考えられる。ここでは,個々の診断法,治療法について詳述することは避け,不妊症治療の総論として不妊症全般について,治療計画のための診断と治療の概要を述べる。
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