特集 産婦人科形成手術・Ⅱ
腟式子宮摘除を行なう子宮脱の手術
浅野 定
1
,
中堀 秀雄
1
Sadamu Asano
1
1神戸市立中央市民病院産婦人科
pp.1191-1201
発行日 1971年12月10日
Published Date 1971/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204530
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子宮脱の手術については創案と追試と,理論と経験とにわたつて論争の永い歴史がある。現在なお必ずしも決着がついてはいない,古くて新しい問題である。思いおこすと私自身が先輩の手術を見学しはじめた頃,操作が複雑なこと,手技に熟練を要することに驚き,例数の少ないこの手術を自分でできるようになるのはいつのことかと感じたものである。またあるときLe Fort手術に関する論文の抄読が当つたさい,術式の細部や考え方などについて質問攻めにあい全くしどろもどろであつたことを思い出す。そのせいでもないがいまだに腟閉鎖術の経験はない。その後,恩師先輩に手をとつて膀胱腟中隔の剥離や肛門挙筋脚の遊離の手技を教えてもらう機会を与えられたが,全く夢中でやつていたように思う。私どもの育てられた教室ではこれらの操作に加えてSchauta手術,Alexander手術,Doléris手術などが行なわれていた。自分の責任でやるようになつてからのことはあらためて述べるが,ごく最近に遠藤幸三博士がManchester手術の発祥病院で現に行なわれている手術に忠実にやつて見せていただく機会を得て,伝統に磨きこまれた芸を見る思いで深い感銘を覚えた。しかし人は自らの経験と理解によつて語るほかはなく,以下述べるところもそれに過ぎない。
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