臨床メモ
呼吸困難症候群(RDS)生存児の予後
竹内 久弥
1
1順天堂大学産婦人科
pp.802
発行日 1971年8月10日
Published Date 1971/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204469
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呼吸困難症候群(RDS)が未熟児に発生しやすいことはいうまでもないが,これに罹患した新生児で生存し得たもののその後の発育状態はどのようなものか? ここにNew YorkのRosewell Park Memorial Insti-tuteの Ambrusら (Am.J.Dis. Child.120, 296, 1970)の報告があるので紹介する。
彼らは未熟児で生れ,4歳になった77名の児を,生下時体重2kg以下と2.1kg〜2.5kg,およびRDSの有無により4群に分け,身体的,精神的ならびに行動的な面からの発育評価を行なつた。その結果,2kg以下でRDSのあつた13名は,身体的には1名に脳性麻痺があつたのみで他の者は正常に発育し,肺にも異常なく,IQの平均は95,しかし,すべての点で正常な者は6名(46%)に過ぎなかった。2kg以下でRDSのなかつたもの10名のうちにはてんかん発作のある者1名,母親が妊娠中にウイルス疾患に罹患し心臓を始めとする多くの奇型を合併する異常児1名を含み,一般的傾向はRDS群に同じであつた。すべてに正常な児は5名(50%)と判定されている。2.1kg〜2.5kgでRDSのあった11名には明らかな異常児はなかつたが,右肺上葉にfibrosisの所見のある者が1例あつた。平均IQは100であり,borderlineの例が6例であつた。生下時体重2〜2.5kgのRDSを認めなかつた43名中,2名に先天性心疾患があつたが,すべてに正常とされたものは27名(63%)であつた。
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