統計
子宮外妊娠の統計的考察
岩崎 寛和
1
,
小菅 興正
1
,
野秋 善嗣
1
Hirokazu Iwasaki
1
1横浜市立大学医学部産婦人科学教室
pp.719-728
発行日 1971年7月10日
Published Date 1971/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204451
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はじめに
子宮外妊娠(外妊と略す)は卵巣および腹膜妊娠を含めて卵管妊娠の別名のように考えられているが,正式には異所的妊娠(ectopic pregnancy,Ektopische Schwangerschaft)の意味であつて,近年報告が増加しつつある頸管妊娠もこの範疇に入るが,本統計では卵管妊娠に限定した。外妊は産婦人科診療の中では典型的な急性腹症であり,数も多く,種々の非定型的病態を示す場合もしばしばなので,診断ならびに治療に関する報告は無数に近く,そのすべてを網羅するのは容易なわざではない。本特集は外妊の本態究明に関する最近の進歩もさることながら,むしろ実地臨床に重点がおかれているので,外妊の診療に際して知つていると役立つと思われるような統計の主要なものを拾つて集録してみた。
臨床統計というものは,一見あるがままの姿を表現しているように考えられがちであるが,実際は統計処理が報告者の主観によつてもかなり修復されるし,各種の医学的ないしは社会的要因に制約されて,必らずしも真の実態を示しているとは限らないから,読者は統計数値の裏にかくされたそれらの要因にまで深い洞察をおよぼして頂きたい。
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