特集 産婦人科麻酔の問題点
産科麻酔における前投薬の意義と方法上の問題点
長内 国臣
1
Kuniomi Osanai
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.209-215
発行日 1971年3月10日
Published Date 1971/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204365
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はしがき
産科麻酔の前投薬とは,分娩時麻酔における分娩第1期の鎮静・鎮痛法のことで,すでに1906年にドイツのFreiburg大学でmorphine・scopolamine注射による方法が創始され,次いで1930年アメリカでbarbiturateが用いられ,また1943年mor-phineにかわつて合成剤のmeperidine(Demerol,オピスタン)が用いられた。すなわちmeperidineは母体に十分鎮痛効果をあらわすが,胎児にはmorphineのような強い呼吸抑制がないからである。そして,Demerol・scopolamine注射は各国で,ル-チンとして普及した。
その後,方法上の問頭点として,(1)各種のtranquilizerが簇出するに及んで,diazepam(Va-lium,セルシン,ホリゾン)やhydroxyzine(Vis-taril,アタラックスP)の併用によりmeperidineの量を滅少して児の抑制を減少したり,(2)sco-polamineをpromethazine(ピレチア)にかえて母の不穏を防止したり,(3)barbiturateの投与量を従来より減少し,本来の催眠効果におさえたり,(4)これら薬剤の併用によるバランス投薬balan-ced medicationという観念が強調されたりしていることなどが特徴といえる。
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