特集 産婦人科手術と偶発症
腹式帝王切開術の偶発症
亀井 邦倫
1
1東京慈恵会医科大学附属第三分院産婦人科
pp.31-38
発行日 1971年1月10日
Published Date 1971/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204336
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はじめに
腹式帝王切開術(以下帝切)の頻度は近年増加の一途を辿つている。これは麻酔学,MEの進歩,化学療法の発達,輸液・血の薬剤,器材の改良など,更には手術々式の向上により帝切に際して母児のriskが減つてきたなどによることと,分娩に対する考え方の社会的変遷に基づくと考えられる世界的傾向であり,わが国においても数次にわたる多数集計によれば昭和23〜35年の三谷1)293,098分娩では,2.53%,昭和31〜35年の森2)402,054分娩では,3.79%,昭和36〜40年の下村3)では460,840分娩で4.82%と帝切率の増加がみられる。
帝切が本来の産科的適応によつて施行される揚合,その相当数が緊急避難的性格を帯びてくるもので,その緊急性は予防的,定時的に行なう場合と異なり,母児の危険を回避すべくかなり切迫した状況である場合も少なくない。
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