連載 産婦人科クリニカルテクニック
ワンポイントレッスン—私のノウハウ
腹式帝王切開術における子宮切開創縫合の一試法について
永井 英男
1
1元日赤医療センター
pp.1192
発行日 1996年9月10日
Published Date 1996/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902667
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帝王切開術について考えなければならないのは,可急的に早く,正確に手術を終了することで,それは子宮の収縮を促し,出血を少なくして,全身的なダメージを軽くすませることが期待できるからである.そのためには切開創の縫合は結節ではなく,連続縫合が望ましい.しかし連続の場合には切開創のコーナー部分を縫合するときに,開始部分では創部の展開が十分なので,正確に上下の筋層の適合が可能であるが,最後のコーナー部分を縫合するときは,切開創が狭くなっていて正確に筋層や,粘膜面の上下を区別できず,適当に勘で縫合するということになってしまうことが多い.そこで私は図①のように左側からでも右側からでもよいが,通例のように丸針つきの糸で筋層の60〜80%を刺通し,なるべく粘膜面には針を出さないように,針の運びは下縁創から上縁創に約1.5cmの幅で強く牽引しながら連続縫合し,創部の中央部分に達したらその糸の刺通した部分を鉗子にて止め(糸が弛まないようにするため),もう1本の同様の丸針つきの縫合糸を用いて反対側のコーナー部分の切開創を前記の要領で縫合し,今度は糸の針は上から下へと運び,中央に及んだときに反対側の縫合糸の鉗子を外してこれと結紮し(図②),さらに針のついた縫合糸を中央部分から左と右に分けて結紮部を埋め込むようにして,残りの筋層20〜40%を同様の要領で左右に連続縫合し,さきに結紮したコーナー部分の残りの糸と結紮して(図③),筋層の縫合を終る.
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