特集 産婦人科診断--最近の焦点
血液型不適合—新生児溶血性疾患(胎児赤芽球症)の診断における羊水検査の意義
白川 光一
1
1九州大学医学部産婦人科学教室
pp.1087-1090
発行日 1970年12月10日
Published Date 1970/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204321
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羊水は胎児にとつて最も近い生活環境をなすものであるため,近年羊水を胎児の最も直接的情報の供給源として活用せんとする試みが多くみられるが,母児間血液型不適合による新生児溶血性疾患(以下HDN (=hemolytic disease of the newborn))の診断上の焦点も羊水についての諸検査にあるといつても過言ではない現状である。
最初に,HDNの診断過程の概略は図1に示すとおりであるが,このうち①,②,④,⑤はすでに早くから確立されているものであり,HDNの診断そのものにはまつたく問題点はない。そして本稿の焦点たる③すなわち羊水に関する諸検査が出現してきた原因は,HDNのなかの相当数のものは劇症罹患であつて子宮内〜出生直後死亡に終わるものであり,在胎中に正確な罹患度判定が必要であるという治療面からの要請によるものである。
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