薬の臨床
Methyl B12(E302)による妊婦貧血の治療
宮崎 好信
1,2
Yoshinobu Miyazaki
1,2
1熊本大学医学部産婦人科教室
2熊本市立産院
pp.757-762
発行日 1970年8月10日
Published Date 1970/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204267
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
妊娠に貧血が合併する頻度は森山1)によれば28.6ないし34.6%の高率であり,Benjamin2)は71.9%の高率に妊婦に貧血を認めている。
また貧血妊婦では弛緩性出血の頻度が高く,産褥期の復古機転が遅延し,更に感染に対する抵抗力が減弱して産褥熱を発生する可能性も考えられるとされている。またChaudhuria4)は貧血妊婦の25%に妊娠中毒症が発生しており,これは非貧血妊婦からの中毒症発症率11%の約2.5倍であると報告している。従つて妊娠中から妊婦貧血の管理を充分に行ない分娩までにはすべての妊婦について貧血を完全に治しておくことが安全な分娩を期待するために絶対に必要なことであると考えられる。
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.