薬の臨床
主として子宮腟部ビランに対するエロジオン腟錠の治療成績
金沢 義一
1
,
野上 保治
1
,
飯島 協子
1
Yoshikazu Kanazawa
1
1群馬中央総合病院産婦人科
pp.621-626
発行日 1969年7月10日
Published Date 1969/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204072
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はじめに
日常,外来診療において子宮腟部ビランはしばしばみられる疾患で,ビランの頻度はきわめて高く,水野によれば経産婦では46.3%に認められ,Normanによれば35〜85%に認められるといわれている。特に妊娠により子宮腟部ビランが増悪し,帯下を訴える患者の多いことは論を待たない。本疾患の治療は種々の腟錠が主として用いられているが,新フランセFおよびフランセF腔腟による治療成績はすでに発表したとおりで,ほぼ満足すべき成績が得られているが,欠点としては蛋白分解酵素による粘膜刺激症状がときに認められることである。もつとも新フランセF錠は結晶トリプシンをαキモトリプシンにきりかえることにより,大幅に副作用が減少したが,刺激症状が皆無とはいいがたい。そこで今回は南方薬品のエロジオン腟錠による実験を試みた。本剤は銅クロロフィリンナトリウム塩50mgとエストリオール0.5mgとスルフイソキサゾール100.0mgを含有する錠剤で蛋白分解酵素は含有していないが,銅クロロフィリンナトリウム塩は組織賦活作用,肉芽形成作用,局所清浄化作用,抗アレルギー作用を有するので,新フランセF錠のαキモトリプシンと塩酸ジフェンヒドラミンを含有しているのと同じ作用が得られるものと思われる。さらにエストリオールとスルフイソキサゾールを含有するので,きわめて新フランセF錠に効果は似ているのではないかと思われる。ただしその内容から考えて,トリコモナスおよびカンジダによる腟炎には治療効果が得られるとは思われないので,上記疾患を主とした訳である。
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