特集 産婦人科手術のポイント
V.手術手技--婦人科
腹式子宮単純全摘術—Aldridge術式を中心に
山辺 徹
1
1長崎大
pp.942-943
発行日 1975年12月10日
Published Date 1975/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205283
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腹式子宮単純全摘術は子宮筋腫などをはじめ適応が多く,一般婦人科医にとつても実施されることの多い手術である。本術式の施行に際して問題となるのは,手術手技の不備などによつて生じることのある尿管損傷と出血である。とくに子宮労組織や腟旁組織においては豊富な血管を伴う結合織線維が錯走している。そのため,この部の集束結紮に際して不測の出血をきたし,その止血処置が尿管損傷の原因となる例を見聞することもある。
広汎全摘術(岡林術式)に熟達した人であれば,骨盤内の解剖に関する十分な知識と経験があるので,尿管損傷をきたす懸念はまずないが,一般婦人科医のすべてにそこまでを期待することは不可能であろう.現実には,これらの副損傷を恐れるあまり,単純全摘術を避けて,子宮腟上部切断術に逃げる術者のある場合も見受けられる。
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