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赤須(司会) 今からホルモン療法の理論と実際という題でシンポジウムを開催いたします。初めに演者の先生を御紹介いたします。
一番こちらの方が群馬大学の五十嵐助教授,お次は徳島大学の足立教授,大阪大学の倉智助教授,神戸大学の東條教授,その次は名古屋大学の川島助教授,最後に非常に悲しいことを御報告申し上げなければなりませんが,岡山大学の吉田俊彦講師が,とてもよくおできになる方で皆さんもよく御存じだと思いますが,私も非常に同君の将来を期待申し上げておりましたのですが,まことに突然に,まだ30代そこそこの若さだと私は思いますが,1週間くらい前にお亡くなりになりました。ために橋本教授と御相談いたしまして,そのかわりとして鎌田昌平先生に御講演をお願いすることにいたしました。どうぞよろしくお願いいたします。本日は今までのシンポジウムとちよつとかわりまして,ホルモン療法の中の最も重要なテーマをとりあげてdiscussしようとするものであります。ホルモンはよくきくとかきかないとか,副作用があるとか申しますけれども,これは結局適応症を誤つたり,正しい使い方をしなかつたと,こういうことに原因するのでありまして,正しい使用法で適応症を間違いなくやればホルモンはよくきくはずでございます。また内分泌疾患に対しましては,ホルモン以外のものは効果はない,たまに自律神経剤などがきくことがございますけれども,それは例外であります。それ故,ホルモン療法は如何にあるべきかということは,非常に大事な問題であることはいうまでもありません。本日はその中でも排卵を起こす方法,これは動物では比較的簡単でありますが,人間で排卵を起こすことは非常に困難でありましたけれども,これが新しいいろいろな薬剤が出ましたし,また使用方法が改良されまして,それによりましてもいろいろな新しいデータが出ておりますので,そういうような問題を五十嵐,足立両先生に,それから月経異常,これは非常に範囲が広いのでありまして,この中で特に倉智助教授には原発性無月経というところに焦点をしぼつて広い角度から御検討いただいております。また我領域では甲状腺の疾患というものが存外忘れられているのでありますけれども,実はこれは産科,婦人科,不妊症そういつた面に非常に関係が多いのでありまして,この点逝くなられました神戸大学の植田教授らの御研究がございますが,東條教授はそれをさらにいろいろと御研究なさつておいでになりますので,そのお話をしていただき,それから子宮内膜症,これは手術によつて治るということになつておりますけれども,なかなかそれによつて完全に治りませんので,それにつきまして最近の新しいいわゆるgestagen治療だとか,あるいはandrogen治療だとかいつたホルモン療法が導入されておりますので,そういう問題について川島助教授に,最後に陣痛誘発に対しますoxytocin療法,これもまた問題点が沢山ありますが,それについて御講演をいただくといつたように非常にバラエティーの多い今日のシンポジウムでございますが,各演者の先生におかれましては,まことに恐縮でございますが,お1人15分以内でお話をいただきまして,一応全部のお方がお済みになりましてから,一般の会場の方もまじえて御交見をお願いいただきたいと思います。
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