誌上シンポジウム 妊娠と腎炎
混合型妊娠中毒症をめぐる内科との接点
はじめに
小林 隆
1
1東京大学医学部産婦人科
pp.557-558
発行日 1968年7月10日
Published Date 1968/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203905
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それではこれから妊娠と腎炎,ことに混合型妊娠中毒症をめぐつて内科との接点の問題を誌上シンポジウムとしてやりたいと思います。本日はご多忙のところを病理学からは矢島先生,内科からは加藤先生,産婦人科からは田中先生がおいで下さいまして,厚くお礼を申し上げます。
ご承知のように妊娠中毒症という問題は産婦人科にとつて日常的な,しかも臨床比重の極めて重い疾患であります。昔からよく理論の疾患,学説の疾患と言われることからもわかりますように,その本態に関してはいまだにわかつていないというのは,一寸理解しがたい程です。かつては妊娠中毒症の病因論もKoch時代の医学黎明期に呼応して1つの疾患には1つのErregerがあるはずだという考え方がなされ,placentaの中に何か特殊な物質を見つけようという努力が,非常な情熱をもつて行なわれ,これが日本の妊娠中毒症研究の歴史を飾つたといつても過言ではありません。
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