症例特集 新生児異常
Ischiopagus tetrapus—1症例と分離手術
浮田 昌彦
1,2
,
兼吉 章
2
,
川崎 満雄
1
,
山田 順常
1
,
藤岡 十郎
3
,
鎌田 正勝
3
,
菅田 元義
3
,
鶴海 寛治
4
,
松尾 光雄
5
,
石田 厳
6
,
松田 篤次
6
Masahiko Ukita
1,2
,
Akira Kaneyoshi
2
,
Mitsuo Kawasaki
1
,
Juro Fujioka
3
,
Kanji Tsurumi
4
,
Mitsuo Matsuo
5
,
Iwao Ishida
6
1京都大学医学部産婦人科教室
2倉敷中央病院産婦人科
3倉敷中央病院外科
4倉敷中央病院整形外科
5倉敷中央病院泌尿器科
6倉敷中央病院小児科
pp.201-206
発行日 1968年3月10日
Published Date 1968/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203848
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はじめに
一卵性双胎の発生過程において両児の分離が完全でなく,その一部あるいは大部分において結合した重複奇形はきわめてまれなもので,Zange-meisterによれば全奇形の0.4%,Potterによれば60,000の分娩中1例,原・兼森は8,043の分娩中2例,石井によれば35,000の分娩中2例といわれている。重複奇形は妊娠中に流産に終ることが多いが,たとえ妊娠9〜10ヵ月まで在胎しても,難産のため死産に終ることが多く,まれに生産された場合でも生後まもなく死亡するものが大部分をしめる。まれには結合したままかなり高令まで生存した例も報告されており,時には分離手術も試みられているが成功例は少ない。
ここに報告するのは骨盤で結合したischiopagustetrapusの1例で,生後82日目に分離手術を施行し,1児は術後41日目に死亡したが,他児は生後9ヵ月の現在まで順調な発育をとげている。
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