先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
免疫療法の評価
赤血球抗体の免疫吸着—血液型不適合妊娠における血漿交換
浮田 昌彦
1
,
矢切 良穂
2
,
上田 恭典
2
Masahiko Ukita
1
,
Yoshiho Yagiri
2
,
Yasunori Ueda
2
1倉敷中央病院産婦人科
2倉敷中央病院輸血センター
pp.375-378
発行日 1986年5月10日
Published Date 1986/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207386
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Cell Separatorの普及により感作妊婦の血漿交換の有効性が認められるようになり,次第に普及しつつある。血漿交換の置換液は当初電解質液,血漿蛋白分画(plasma protein fraction:PPF)が用いられていたが,低蛋白血症と凝固機能低下が問題となり,次にはfreshfrozen plasma IFFP)が用いられるようになった。しかし,FFPも時にアナフィラキシー・ショックをおこすことと,資源の問題があり,わが国では肝炎,欧米ではAIDSの感染が問題となっている。以上の置換液は患者の血漿を全面的に置換する方法であるが,最近では患者血漿中の病因物質を選択的に除去する方法が次々と開発されている。これには膜分離法と吸着法があるが,免疫吸着(Immunoadsorption)は吸着法の一つであり,免疫に関連した病因物質を吸着により除去する方法で,現在表1に示すような種々の疾患に応用されている1)。血液型不適合妊娠における病因物質は赤血球抗体であり,これを対応血液型物質に吸着させて選択的に除去することにより,妊婦血漿中の赤血球抗体量を低減させる訳である。
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