特集 最近の産科感染症--その診断と治療
妊娠とウイルス感染
水野 重光
1
Shigemitsu Mizuno
1
1順天堂大学医学部産婦人科教室
pp.123-129
発行日 1968年2月10日
Published Date 1968/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203838
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はじめに
妊娠初期に風疹に罹つた場合,胎児に種々の奇形が発生することが1941年Greggによって発表されて以来,本事実は相次ぐ報告によつてほぼ確認された。ここにおいて風疹以外のウイルス性疾患によつても果してこのような現象がおこるものであろうかという懸念が新たに生じ,これを肯定する発表もあり,妊娠合併症としてのウイルス性疾患は産科学において現今注目を浴びている課題の一つとなつたのである。
胎児への影響以外にも,従来の急性伝染病の場合と同じように,妊婦はウイルス性疾患に対し特に感受性が強いか否か,また妊婦が罹患した場合非妊婦におけるよりも予後が悪いか否かなど,母体への影響に関しても疫学上あるいは母体保護の点から看過できないが,今後の綿密な観察,検討を要する問題が多い。
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