研究
ストレス時における尿中3—Methoxy−4—Hydroxymandelic acid (V.M.A.)排泄量の変化
只野 寿太郎
1,2
,
平沢 政人
3
Jutaro Tadano
1,2
,
Masato Hirasawa
3
1順天堂大学医学部臨床病理学教室
2中央鉄道病院臨床検査科
3立正佼成会佼成病院臨床検査科
pp.991-993
発行日 1967年12月10日
Published Date 1967/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203813
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はじめに
Stressと内分泌平衡の問題は,内科領域のみならず外科領域においても,多くの関心が示されている。外傷や外科的侵襲時の生体防衛反応についてはCannonやVon Euler1)2)らは,交感神経副腎髄質系を重視し,副腎髄質から分泌されるAdre—nalinとNoradrenalinの作用を示した。これに対しSelye3)らは下垂体副腎皮質系による適応症候群学説を体系づけ,ここに生体のstressに対する反応として交感神経副腎髄質系による緊急反応と下垂体腎皮質系による警告反応の2つが明らかにされた。生体侵襲時のAdrenalin,Noradrenalinの動態に関する研究は,測定法の困難さのために余り高く評価されなかつたが,最近Catecholaminの測定法は著しく進歩し,徴量定量もある程度まで可能になつた。しかし,日常臨床検査室で測定をおこなうにはまだ種々の点で制約を受ける。
これに対し,Adrenalin,Noradrenalinの生体内での主要代謝産物である3—Methoxy−4—HydroxyMandelic acid (V.M.A)は,尿中に比較的大量に排泄され4),診断的意義5)もCathecholamineに劣らないとされている。
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