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電子顕微鏡像と光学顕微鏡像の比較
高橋 昭三
1
1東京大学細菌学教室
pp.375
発行日 1962年6月15日
Published Date 1962/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905975
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光学顕微鏡には解像力の限界があり,それは可視光線を使用することによるわけです。染色標本を手軽にみられる点で,また簡単な操作で誰でもみれる点で,更に長い歴史をもつことからも,見たものの意味づけが確立しているので,他の鏡検法をもつて代えることはできませんが,電子顕微鏡の強みは,何といってもその解像力のつよさにあります。光学顕微鏡の光のかわりに電子線を用い,光学レンズのかわりに電子レンズを使用し,軽く5万倍以上の拡大を可能にしています。光学顕微鏡の約1000倍に比べると,それが大変なものだということかわかります。大型のものになると,15万倍以上(解像力8Å)のものさえあります。ここに出したのは中型電子顕微鏡ですが,高さ約2m,奥行約1m,幅約75cmで,やはり一室を占領します。マイクロトーム,Shadowingを行なう真空蒸着装置等をこめて,部屋の改装費まで入れると,約400万円くらいの装置です。日本の電子顕微鏡の優秀さは世界的に有名で,日本国内よりも,国外にたくさん買われています。高価な機械となると,輸入品の多い,日本のうるさい研究室でさえ,これだけは日本製のみが使用されているといってもいいくらいです。
当然のことですが,この装置を自由に駆使するには,少なくても3年かかるといわれています。技術者として,1人でおもりできるのにも1年はかかるでしょうが,オペレーターは世界中どこへ行っても生活できるでしょう。
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