特集 産婦人科医のための臨床薬理・1
薬物療法の基礎知識
松岡 松男
1
Matsuo Matsuoka
1
1聖路加国際病院産婦人科
pp.601-602
発行日 1966年8月10日
Published Date 1966/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203525
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はじめに
産婦人科医ことに妊婦を取扱う産科医は,医療行為全般に母体のみならず胎児の健康に対する考慮がなされなければならない。ほとんどすべての薬物が胎盤を介して児へ移行し,しかも発育段階にある胎児細胞は,外的刺激に対して成人の細胞より一層感受性が高く脆弱である。こうした見地からサリドマイド事件は産科医の薬物療法上の一大警鐘であつたと言えるであろう。ここ数年来,本邦においても諸教授により,妊婦に対する薬剤投与に関する綜説が発表されているが,本稿において,臨床上汎用される薬剤の中で胎児に対する危険が判明している,あるいは予想される薬剤に関し,あえて概説を繰返してみた。産婦人科医の薬物療法上の基礎知識の一部となれば幸いである。
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