講座 先天性異常の早期診断とその処置・3
分娩時の診断
福井 靖典
1
,
武者 吉英
1
Yasunori Fukui
1
1日本大学医学部産科婦人科学教室
pp.537-540
発行日 1966年7月10日
Published Date 1966/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203513
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.分娩第Ⅰ期および第Ⅱ期における診断
胎児に奇型がある場合,分娩経過が障害されることがある。分娩第Ⅱ期において正常児は正常な骨盤腔に嵌入し,ほとんどといつてよい位余地を残していないものである。したがつてこのような時期に,もしも胎児全体あるいはその大部分が容積を増しているような揚合には,正常な分娩経過が妨げられることは当然で,増大の程度,骨盤腔の状態によつて完全な障害となつたり,分娩第Ⅱ期を遷延させたりするようになる。胎児の軟部組織,特に正常な揚合最も細い腹部が増大しているような場合には,かなり増大しても分娩を遷延させることはない。これに反して頭部は正常でも骨盤腔にたいして最大の周径をもつているので,わずかな増大でも分娩障害を起こしてくる。分娩第Ⅱ期開始前にすでに一部の応形機能が認められている.さらには頭囲の縮少が産道で行なわれていることは確かである。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.