MY THERAPY in Series・43
無月経の治療的診断法
倉智 敬一
1
1大阪大学
pp.369-370
発行日 1966年5月10日
Published Date 1966/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203476
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無月経は日常の診療にさいしてしばしば遭遇する疾患であり,その原因は多岐にわたり,またその治療法はきわめて多種多様である。したがつて臨床家諸氏は治療法の取捨選択に困惑されているのが現状ではないかと思う。もちろん理想的な治療は原因を確定したのちに,これに向つて行なわれる原因療法でなければならない。けれども毎日多数にのぼるすべての無月経患者の尿中ホルモン排泄量を精密に測定するなどは到底実施できることではない。私はここに教室のホルモンクリニックで日常実施している無月経の治療方針を簡潔に述べ御叱正をえたいと思う。
ホルモン療法にあたつてまず考慮すべき根本的な問題は,いかなる症例では無月経の原因となつている無排卵を治療しなければならないか,またいかなる症例ではホルモンの補充療法による消退出血を計るのみで満足しなければならないかの判定であろう。未婚の若年婦人にゴナドトロピン(G)による排卵誘発を行なつても無意義であるばかりでなく,このとき通常用いられる妊馬血清性G (PMS)に対して抗体を産生させる結果となり,将来必要なG療法に際して患者を不応性にしてしまう恐れがある。また更年期婦人に対する排卵誘発も無駄な努力にすぎない。
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