Modern Therapy 不妊治療
無月経—乳汁漏出症候群
青野 敏博
1
,
小池 浩司
1
,
倉智 博久
1
,
倉智 敬一
1
Toshihiro Aono
1
1大阪大学医学部産婦人科学教室
pp.197-200
発行日 1980年3月10日
Published Date 1980/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206209
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近年血中prolactin (PRL)のradioimmunoassayによる測定が可能になり,無排卵症や不妊婦人に占める乳汁漏出性無月経症の意義が大きいことが明らかになってきた。
最近2年間にわれわれの外来を訪れた無月経婦人を対象として血中PRL値を測定した成績によると1),表1に示したごとく,PRL値が25ng/ml以上の高PRL血症は,無月経または不妊を主訴とする207例中18例(8.7%)に認められ,そのうち17例に乳汁漏出が確認できた。一方乳汁漏出を主訴とする50例の無月経婦人では60%の症例に高PRL血症が認められ,これらを合計した257例の無月経患者のうち67例(27.1%)に乳汁漏出症を,48例(18.7%)に高PRL血症を認めた。このように無月経症例の約5人に1人は高PRL血症であるので,無排卵患者を診療するに先立って早期に乳房検査と血中PRL値の測定を行なうことが望まれる。
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