Japanese
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特集 周産期傷害
周産期傷害の対策
Countermeasures against perinatal injuries
鈴村 正勝
1
Masakatsu Suzumura
1
1日本医科大学第1病院
pp.343-347
発行日 1966年5月10日
Published Date 1966/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203471
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はじめに
分娩時に胎児に及ぼす作用はきわめて大きいものがある。陣痛だけを例にとつても,分娩開始から胎児娩出までに初産婦では平均485回,経産婦では189回の収縮があり,その収縮圧を合計すると,初産婦は平均2777mmHg,経産婦は2225mmHgであり,この収縮を積算すると,初産婦は平均4926mmHg分,経産婦は3319mmHg分となつている1)。そしてこの収縮は,初産婦は平均11時間34分,経産婦5時間02分の間におこつたものであつて,臨床的に分娩開始以前にもなお相当の陣痛があることは,分娩前日の収縮が10分間に2,3回平均であることから推測される。したがつて逆にいうと,胎児にはこのような作用に十分たえるだけの防禦態勢があるのであつて,多少のことには障害されないということになる。生理的範囲にある現象であれば,それに対抗できる能力を胎児は有しているとも考えられる。研究方法にはなお問題があるが,現在までの調査では分娩様式がいかようであつても,児の発育には大きな影響はなく,むしろその適応症が問題になつてくる2),3)。
正しい適応の下に行なわれた帝王切開または鉗子術あるいはVacuum-Extraktionは,児に傷害を及ぼすことがほとんどないといえる。
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