日常診療メモ・XIX
尿管損傷(瘻)の診療について(その3)
清水 直太郎
1
Naotaro Shimizu
1
1九州大学温研産婦人科
pp.791-797
発行日 1964年10月10日
Published Date 1964/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203144
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Boari法の変法としてさらにTompson (1961年)およびScott (1962年)は,前記変法と同じく膀胱壁弁管と尿管との端〜端吻合をせず,壁弁に尿管を移植してから壁弁管をつくる端〜側吻合をするが,その場合,第19図のように尿管を壁弁の粘膜下を斜走させてから出し,壁弁を縫合してできる管腔内にひらくようにした。すなわち壁弁の先端から3〜4cmのところで粘膜に小切開を入れ,そこから粘膜下を通じて弁先端の方向に1.5〜2.0cmはなれて壁弁外側に出るトンネルをつくり,尿管端を外側から内側に引きこみ,トンネルの出入口で尿管を固定する。新島ら(1963年)はこの方法にさらに移植尿管開口部にカフス形成を加味している。すなわち尿管端を壁弁粘膜面から約1.5cm突出させ,その約半分の割を入れて反転し粘膜面に縫合する。
以上のような壁弁と尿管との端〜側吻合法は,端〜端吻合するBoari法よりも長い尿管が必要である。結局,尿管の膀胱移植は,利用できる尿管の長さによつて膀胱への直接移植,膀胱弁との端〜側吻合,さらには端〜端吻合を選ぶようにする。
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