特集 新生児の研究と臨床--第1回新生児研究会シンポジウム
新生児黄疸
新生児期黄疸の臨床的意義
白川 光一
1
Koichi Shirakawa
1
1九州大学医学部産婦人科学
pp.138-145
発行日 1964年2月10日
Published Date 1964/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202986
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新生児期の黄疸は従来ともすれば"Physiologicaljaundice"の美名のもとに軽視されがちであつたことは否定できず,病的なものも,Icterus neonatorum Precox,Icterus neonatorum prolongatusおよびIcterus neo—natorum gravisなどといつた漠然たる分類がなされているにすぎなかつた。しかし新生児溶血性疾患(Hemolytic disease of the newborn, Morbus hemolyticusneonatorum)(以下M.h.n.と略記する)の発見,あるいはCole, Lathe, Eillingらによるビリルビン(以下「ビ」と略記する)代謝機構の解明などにより,近年第1表に示すようにかなり詳細な分類が可能となつている。もつとも細部に関してはなお諸家の見解が統一されていない点も少なくないが,他方"Unknown"のものが漸次解明されてゆくであろうことは相像に難くない。
これら病的黄疸はすべて程度の差こそあれ新生児に種々の影響を及ぼし,さらには成長後にまでも累を及ぼすものさえもある。現在その最たるものは核黄疸(Kernicterus)(以下K.I.と略記する)であるが,これを惹起するのは第1表中の*印を附したもの,すなわち間接「ビ」(非抱合型「ビ」)の欝滞をきたす種類のものである。
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