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DESKジョッキー(1)
遠
pp.114
発行日 1963年2月10日
Published Date 1963/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202749
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タレントの交流が盛んで,芝居が昔にくらべて格別多彩になつた。観る側の目もこえてきているのではないか。いろいろに馴れた観客を前に舞台を踏む。客席からの軽いどよめきとも嘆息ともつかぬ反応に,「ジワがくる」といつて舞台人は敏感だ。手ごたえを呼ぶにはそれだけの芸の修練も必要になつてくる。本当のタレントほど人気を支えるものの何かを知つている。主と客との結びつきは舞台の上でだけ実現する。ジワの来ないような舞台は致命的な非難を受けている訳だ。身の毛のよだつような同時性の厳格さがある。
出版などは,その点,読者からの反応までに間がありそうに見える。それだけに手さぐりの怖さも格別だ。気に入らない番組だとパチンと切つてしまわれるテレビ・ラジオの場合以上に無残な目に合いかねない。買われない。読まれない。知られない。読者の強さを痛いほど感じながら,編集デスクは無い知恵をしぼる。昨年八月号から本号まで,一号ずつ新機軸をと努めてきた。アンケート,My Therapy,Proposal,Discussion,講座etc.ようやく読者からジワが来るようになつている。投稿数,アンケートの回収率そして発行部数などの増加が目にみえてきた。薄情かもしれない読者を責めることは間違つているのだ。手ごたえを呼ぶにはそれだけのものを先ず提供しなければならない。それにしてもむずかしいもんです。
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