Japanese
English
婦人科 悪性腫瘍
悪性腫瘍に対するマイトマイシンCの使用経験
Use of mytomycin C for malignant tumors
福田 透
1
,
塚本 隆是
1
,
津田 達雄
1
,
前沢 晴朗
1
Tooru Fukuda
1
1信州大学医学部産科婦人科学教室
pp.227-230
発行日 1962年3月10日
Published Date 1962/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202593
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.緒言
癌対策の最近の進歩は実に目覚ましいものがあり,その治癒成績は年と共に向上をみつつあるが,しかし尚今日でも如何なる強力なる照射療法,手術療法をもつてしても,それだけでは割切れぬ多くの問題も残されている。即ち局所療法による癌の治療は既に限界に近づきつつあり,何等かの全身的立場における癌の把握と治療とが要求されている事は言をまたない所であり,此処に全身療法としての抗癌剤,骨髄移殖等に対する大きな期待が寄せられる訳である。周知の如く近年各種の抗癌剤が続々登場し臨床的にも各方面より検討が重さねられているが,確実な効果と副作用の点で満足すべき製剤は残念ながら未だ少ない様である。
最近新抗癌剤として注目されているマイトマイシンCは放線菌の一種Streptomyces Caespito—susより分離された青紫色樹枝状結晶で,(1)従来報告された抗癌物質中最も広い抗癌スペクトラムを有する,(2)副作用が従来のものにくらべて少ない,(3)他の化学療法剤に耐性を得た場合でもその効果を期待しうる等の特徴が挙げられており,内科,外科領域を始めとして多くの臨床成績が報告されている。我々も今回産婦人科領域の悪性腫瘍患者にマイトマイシンC (協和醗酵提供)の投与を行い,2〜3の観察を行つたので以下その成績につき報告する。
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.