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特集 産婦人科診療の今昔
産科学
子宮後屈症及び子宮内膜炎
Retroflexio uteri and endometritis
岩田 正道
1,2
Masamichi Iwata
1,2
1交成病院
2三井厚生病院
pp.86-90
発行日 1960年1月10日
Published Date 1960/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202123
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はしがき
自分が大学を卒業してすぐに東大産婦人科教室に入れていたゞいた頃には毎日の婦人科外来診察では子宮内膜炎又は子宮実質内膜炎という診断がかなりに多く,これに対して毎日腟洗滌を行いイヒチオール・グリセリンを浸したタンポンを挿入しておつた。またその頃には子宮後転症に対して手術療法を適切と認めた症例が現在に比べると実に桁違いというてよい程に多く,その当時東大教室では主任教授の磐瀬先生と助教授とが隔日に執刀されていたが,毎週少くとも1〜2例の子宮矯正位手術があつたと記憶している。
かような状況はおそらく大正末期まで続いておつたと想像されるが,各領域における研究によって従来の誤解,偏見が逐次是正さるるに到つた今日,子宮内膜炎という臨床診断名や,所謂子宮後屈の手術等は共に著しく少くなつたので,往時,といつても略3〜40年前の頃を追想すると真に隔世の感がある。
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