Japanese
English
薬剤の臨床
Abcidの臨床経験
Clinical use of Abcid
菊池 芳夫
1
,
黒崎 洵
1
Yoshio Kikuchi
1
1東北大学産婦人科
pp.1204-1205
発行日 1959年12月10日
Published Date 1959/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202102
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
Ⅰ.はしがき
1932年プロントジールが感染症に用いられて以来,著しい改善進歩を遂げているが,ペニシリン,ストレプトマイシン,オーレオマイシン,テラマイシン等抗生物質の出現によって,サルファ剤はその使用範囲が狭められ,一時忘れ去られたかの如き感があつた。しかし最近に至り長時間作用性のサルファ剤の出現によりここに再び脚光を浴びるに至った。Abcidはその代表的なものであり,血中濃度維持時間は従来の諸サルファ剤に比して極端に長いものである。構造は次の如くであり最も溶解度の高い結合体となって排泄されるためアセチル化体の生成は極めて少く,毒性は従来のサルファ剤よりも低く,腎障碍,発疹,血液障碍等の副作用は殆んどみられない。更にグラム陽性菌,陰性菌を始め極めて広い抗菌スペクトルを持ち,且つ肺炎球菌や連鎖状球菌に対しても少量で驚くべき効果を発揮する。従つて用量も初回1g1回,以後1日1回0.5gの投与を行えばよく,従来のサルファ剤の如く1日4回に分けて服用する繁雑がはぶけて便利である。今回われわれはこのAbcidを外来の諸種感染症患者に使用して,その臨床的効果を観察したので,その成績を報告する。
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.