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特集 新医師臨床研修制度における精神科研修はどうあるべきか
これまでの経験から
A Private View on Postgraduate Training
山下 格
1
Itaru YAMASHITA
1
1平松記念病院
1Hiramatsu Memorial Hospital
キーワード:
Learning from patients
Keyword:
Learning from patients
pp.1101-1102
発行日 2003年10月15日
Published Date 2003/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100913
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- Abstract 文献概要
まず坐る
今から50年ほど前,心身症への関心が急に高まったころ,特にお願いして某内科の回診に加わって,問題のありそうな患者から話を聞かせてもらったことがある。当時の内科病棟には,処置室はあったが診察室(したがって面接室)がない。やむをえず空いている個室に案内して,患者は椅子に私はベッドの端に坐ると,途端に患者が話し始めて,私はひたすらメモをとるのに追われた。その内科の検討会に3症例をまとめて報告したが,主治医が知らないことをどうして聞き出したのかと聞かれた。私は聞き出したのではなく,二人で坐ったら相手が自然に話し出したのである。
新聞報道によると,画像を見て病人の顔を見ない医者が増えているそうである。それが卒後臨床研修を導入する理由の一つだという。ある学校では,学生が患者と医者になってロールプレイの実習をすると聞いた。その試みもよいことであろうが,予診の機会にでも,まず無心に患者と坐ると,何かが始まる。禅修業ではないが,坐ると自然に起き,坐らなければ生じないものがある。
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