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特集 子宮癌診療の進展
治療
子宮頸癌根治手術のリンパ節廓清効果判定の試み—手術療法の統計基準確立のために
Attempt at examining the effectiveness of the widespread removal of lymph nodes in radical operation for cervical cancer, with a view to establishing a statistical standard for its surgical treatment
小林 隆
1
,
竹内 正七
1
,
松枝 和夫
1
,
小林 昭夫
1
Takashi Kobayashi
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.1089-1095
発行日 1959年11月25日
Published Date 1959/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202083
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Ⅰ.まえおき
子宮頚癌の治療成績は国際統計基準にもとずいて,臨床進行期別に取扱い,5年治癒率によつて論んずべぎことがとりきめられている。癌の治療効果は5年治癒率によつて判定しなければならないのは当然のことであるが,この治癒率の優劣が必ずしもたゞちに治療方法のそれを示すとは云えない趣きもあることを一応心得ておくべきである。というのは治癒率を支配する因子には治療方法のみならず,癌の病理学的な進行程度の相違等が大きく関与するからである。それだからこそ国際統計基準においては患者を不満足ではあるが臨床進行期別に分類して検討することを求めているわけである。
ところが,この臨床進行期というのは国際分類による一定の基準にしたがつて診定するのであるが,主観的な要素が多く,内診が唯一の方法であるから事実上の癌の進展度とはかなり喰違いのあることは既に諸家の指摘しているところである。臨床進行期が癌患者の病理学的所見を正確に反映していないとすれば,臨床進行期別の治癒成績から,治療方法の優劣を論じることは厳密には不可能に近いと云つても過言ではないであろう。
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