Japanese
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臨床統計
術後における自律神経症様症候群の調査成績
Statistical on the vegetosislike symdrom following operations
鳥取 正勝
1
,
遠藤 満郎
1
Masakatsu Tottori
1
1岩手医科大学産婦人科学教室
pp.73-78
発行日 1959年1月10日
Published Date 1959/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201891
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婦人自律神経症の成因として,内分泌系の障害とともに精神的要素が大きな地位をしめていることば論をまたないところである。その精神的要素として,女子においては男子と異なりその生涯に月経,結婚,妊娠,分娩,更年期等多くの内分泌系の変化の時期に遭遇する。その際同時におこる生活環境の変化による精神的負担,さらには更年期等に見られる社会的,家庭的精神葛藤があげられる。このような婦人がその上手術をうけなければならないとしたら,肉体的苦痛とともにその精神的苦痛,圧迫は一層倍加され,疾病に対する無知識はさらにこの精神的負担に拍車をかけるであろう。例えば外来患者同志「手術あるいは結紮を行つたりすれば身体に力がなくなって働けなくなる」等と語り合い,術前すでに術後の無意味なる疾病を想像して手術を忌避し,あるいは恐怖を抱いたりすることが多い。これらの理由により術後本症の患者は正常婦人に比較してさらに多数あるものと想像される。しかしまた手術と関係のない一般婦人における本症の発生頻度も,種々の調査では外来患者の8〜30%となつているが非常にまちまちである。すなわち本症の患者は種々の訴えを持ちながらも,特殊な例を除いて疼痛等の耐え難き症状でないため,医療をうけずにいるものが大多数である。したがつてその実態の把握は外来患者のみを対象としたのでは不可能であろう。まして術後の明確な実態調査の報告はいまだ見当らない状況である。
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