グラフ
仙骨異常例のX線爲真(Ⅰ)
東京大学医学部産婦人科学教室
pp.79-80
発行日 1958年2月10日
Published Date 1958/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201702
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第1例 大○○子 28才,1回経産婦。既往歴:家族及び配偶者には異常がない。第1回分娩は昭和29年1月,26才のときX線像により,長骨盤(仙骨6個)及び第2仙骨岬による狭骨盤のため腹式帝王切開.今回の最終月経は昭和29年11月13日。妊娠中の経過は順調であつたが,妊娠9ヵ月末になつても,児頭は全く浮動し,且つ児頭前面は恥骨結合前面より明らかに膨隆しており,且つ前回帝王切開分娩であつたので,昭和30年7月13日骨盤X線計測施行。骨盤側面像により,児頭は骨盤入口より上にあり。仙骨は6個あつて,第5腰椎が明らかに仙骨化している。しかも,第4腰椎と第5腰椎との間が隆起して,第1仙骨岬を形成し,木来の仙骨岬は第2仙骨岬となつている。第1仙骨岬との第1前後径は12.7cm,第2仙骨岬との第2前後径は10.7cm(前回妊娠時のX線像によつてもそれぞれ12.8cm,10.8cmを示している)。人口面像により,左右径は12.9cmであつて,Thoms分類の女性型である。児頭の大横径は測定不可能であるが,最大横径は10.5cm。骨盤開角は第1仙骨岬62.5°,第2仙骨岬107°。骨盤入口の最小前後径と児頭の最大横径との差が0.2cmにすぎず,且つ前回帝切を施行したので,厳重に経過を観察中,予定日になつても陣痛が発来せず,児頭もなお高く浮動するので,帝王切開術施行。4040gの男児娩出。本人の希望によりMadlener氏卵管結紮術施行。
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