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グラフ
仙骨異常例のX線写真(Ⅱ)
Roentgenogram of abnormal sacrum
東京大学医学部産婦人科教室
pp.153-154
発行日 1958年3月10日
Published Date 1958/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201716
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第3例 長骨盤扁平仙骨例 重○○美○ 31才。初産婦,1回人工妊娠中絶(第6図,第7図)。家族歴及び配偶者には,特記すべき異常はない。既往歴。妊娠3ヵ月に人工中絶を受けた以外には異常はなかつた。最終月経は昭和28年6月25日。骨盤は,棘間径23.5cm,櫛間径25.5cm,大転子間径28cm,外結合線18cm,斜径21cm,側結合線15cmであつて,外計測によつては異常を認めなかった。妊娠経過もまた順調。昭和29年3月16日(在胎38週)外来診察時,児頭はなお移動し,児頭の前縁は恥骨結合前面よりやや高く,機能的診断上,児頭骨盤不適合を思わせたので,骨盤レントゲン撮影(第6図)。仙骨は6個であつて,その前面はほぼ直線的であり,末端にいたつてやや凹攣を示す。真結合線10.5cm,最大横径13.5cm。骨盤開角70.5度。恥骨結合と仙骨前面との最短距離は,真結合線ではなくて,仙骨のほぼ中央と,恥骨結合と中央の間にあり,9.2cmであつて,真結合線より1.3cmせまい。児頭は骨盤誘導線に向うが,なお前方に傾き,後頭頂骨定位をとり,児頭が恥骨結合でささえられている。入口面は女性型。10日後,陣痛発来し,児頭はやや固定したが,進行しないので,再び側面像(第7図)撮影。児頭は骨盤濶部の最小前後径のすぐ上にある。恥骨結合との間にはなお多少の余裕があるが,入口面前部がやや小さいために,児頭は後方に押され,最小前後径の直上でその進行を停止したものと思われる。
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