Japanese
English
臨床研究
肺結核患者の自然分娩に就いて
On the spontaneous delivery in pulmonary tuberculosis patients
中林 繁司
1
,
池田 精孝
1
,
清水 進
1
,
玉利 彰
2
Shigeji Nakabayashi
1
1東京慈恵会医科大学附属第三病院内科
2東京慈恵会医科大学漉婦人科教室
pp.829-834
発行日 1957年12月10日
Published Date 1957/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201650
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緒言
現在わが国に於いては肺結核患者の妊娠並びに妊娠継続は一般に危険であると云う考えが患者は勿論の事,医師の一部をも概念的に支配し,病勢の如何を問わず妊娠回避並びに人工中絶を行う場合が多い様である。然るに肺結核と妊娠は社会的にみても重要であつて特に日本の婦人の立場は外国に比し微妙で将来を左有する場合も多く見受けられ,妊娠並びに妊娠継続の可否に就いて臨床医家が屡々真剣に相談を持ち込まれる問題の一つである。
従来より結核と妊娠の関係は長い事論争の的になつており臨床実験の困難な点よりして内外に於いて未だ決定的な結論に達していない。我が国に於いては結核自体が種々の角度より検討されておりながら,その割にはこの問題に関する文献は量的に少く藤森教授,加来教授等産婦人科医の立場からの発表が主要な位置を占め胸部疾患を取扱う内科医側の発表例は少い現状である。この事は肺結核の病態がちまりにも複雑多岐にわたる上に妊娠による個体の変調が更に多くの要素を加味する為に多くの人々がその必要性を痛感しっつも一概に結論的な意見を発表する事が困難な為とも思われる。然し先人の一つ一つの業蹟の基礎の上に立つた多くの経験例が積み重つた際は将来必ずや或る種の結論に到達する時期がある事が推定出来るのである。
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