特集 婦人科領域のAndrogen
機能性子宮出血のAndrogen療法
長谷川 敏雄
1
1東京大学
pp.1083-1085
発行日 1955年12月15日
Published Date 1955/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201293
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
本問題に就ては本邦でも既に2,3臨床実験報告や綜説的記載があり,加うべき何物も無いのであるが,本特集号としては欠いてはならない重要な部門であるので,蛇足を顧みず一応趨勢の一斑を簡単に紹介することゝした。
所謂機能性子宮出血,functional uterine blee-dingとは,局所乃至全身所見上何等かの器質的変化(例えば局所変化としては子宮腫瘍乃至炎症等)を認め得る所謂器質的不正子宮出血organicuterine bleedingに対し,之を証明し得ぬ場合と云うことに一応規定されているが,既に一般に知られているように本症の場合屡々卵巣(卵胞存続及び黄体欠如)竝に子宮内膜(異常増殖或は腺嚢性増殖)に一定の器質的乃至解剖変化の存することが明かとなつた今日では,最早そうした定義は適当ではなく,寧ろ「性機能と密接な関係を有する間脳殊に性中枢たるその視床下部,下垂体前葉(腺垂体)及び卵巣の三者に依て形成されている1閉鎖環の孰れかの部分竝に其他甲状腺,副腎等各種内分泌腺機能相互間,従て又之を支配する自律神経系統相互間の平衡失調に基くと考えられる月経周期とは無関係な不正子宮止血を云う」と定義した方がより合理的であろう。
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.