原著
卵管粘膜の周期的変化に関する研究—第2篇 卵管粘膜におけるアルカリ性フオスフアターゼの周期的変化に就いて
湯原 安彦
1,2
1武蔵野赤十字病院産婦人科
2東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.885-894
発行日 1955年10月10日
Published Date 1955/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201254
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第1章 緒論
フオスフアターゼ(以下Ph-aseと略記)は,脂肪族,芳香族,或はその水酸化物の燐酸エステルを加水分解して燐酸を遊離せしめる一方,可逆性にエステル合成機能を有し,是等の間に平衡状態を保たしめる能力のある一種のエステラーゼである。他方燐酸は生体中のあらゆる組織中に分布し,炭水化物,脂肪,蛋白質と結合してそれらの新陳代謝に深い関係を持つているので,それ等を分解又は合成する作用を司るPh-aseは生体生存上必要欠くべからざる物質であると云うことが出来る。
又Ph-aseは生体内,細胞体内に於て広く鉱物質,炭水化物,脂肪,類脂体,核酸等の物質代謝に直接,間接に関与し,生理的にそれ等物質の代謝の行われる所には必ず該酵素があるのみならず代謝が旺盛な時には増殖し,又異常代謝に際しても出現する。
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