婦人性器感染と尿路感染

URO-GENITAL INFECTION OF THE FEMALE

はじめに

　婦人の性，尿器感染は部位的にみれば内，外性器と，尿器は尿道，膀胱，尿管，腎盂，腎に大別できる。また感染経路からみれば上行性，下行性とに，言葉を変えれば接触性，非接触性感染とに分けることも可能であろう。

　私はこれらのうち接触感染について特に問題の性質上性交感染を主として取り挙げてみたい。接触による感染は性器では外陰部，膣，頸管に，尿路は尿道に初発感染を起すであろう。これらの部位に付着もしくは侵入して常住の形をとるものと直ちに炎症を起すものとあり，前者は非病原性，後者を病原性菌として取り扱われているが，私は病原性微生物で既に明かにされている例えば性病の病原体等は除外し，病原性の不明なもの又は性，尿器に腐生的に常住し，時に病原性を発揮するといわれているものについて考察してみたい。