症例研究
白股腫に対するHeparin, Dicumarol併用療法
小島 光
1
,
宮地 健三
1
,
橘高 祥次
1
1東京大学医学部産科婦人科教室
pp.565-569
発行日 1955年5月10日
Published Date 1955/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201189
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緒言
白股腫は極めて稀な疾患であつて,其の治療としては従来安静・冷温湿布・抗菌剤の使用等に限られていたが,近時Heparinに次でDicumarol(Bishydroxycoumarin)Tromexan(Ethyl-bi-scoumacetate),Phenindione(phenylindanedi-one)等一連の抗凝固剤の発見は,本症の予防並びに治療に一時代を劃したもので,欧米では其の応用は頓に活溌化しつゝあるに拘らず,本邦では本症の発生が少ない為かあまり顧みられない状態である。
本症は臨床的にPhlebothrombosisとThrom bophlebitisとの2型に分けられるが,その診断は必ずしも容易ではなく.軽症なものは見逃され易く,又不明のまゝ看過される事も想像されるので実際には従来老えられているよりも多いのではないかと思われる。余等も最近数例の術後血栓症を経験し,其の内最も重症で長時間を要した産褥性のものにHeparin, Dicumarol併用療法を試みて効果を認めたが報告する。
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