--------------------
Dicumarolによる血尿症例
倉持 正雄
1,2
1慶應義塾大學醫學部皮膚科泌尿器科
2立川病院皮膚泌尿器科
pp.69-70
発行日 1953年2月1日
Published Date 1953/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200904
- 有料閲覧
- 文献概要
緒言
Dicumarol(以下D.)はSweet clover diseas-es(腐敗したムラサキウマゴヤシの乾草を喰つた家畜におこる溶血性疾患)の原因と認められるものと同一物であることが1939年Linkによつて提唱され,1941年には4-Hydroxy-counarinとして抽出され,現今では容易に合成されるに至つた。この藥劑の有效性については未だその作用機轉に關し多くの問題を殘しているがProtrombin(以下P.)の産出を抑制して低P.血症をおこさせ血栓や栓塞を防止する點から最近D.を中心とする血液凝固阻止療法が豫防及び治療の面に於て又これと關係なき疾患の治療にも應用されるに至つた。然しこの種藥劑服用により屡々大小出血症状を認めることは以前から諸家によつて報告されている。私も最近1例は血尿を主訴とした患者に接し,後日これがD.による血尿であつたのを知り,他の1例はD.服用患者で輕度の陰嚢鼠經部打撲から遂に睾丸血腫を形成したのを經驗した。それでこれ等の2例について茲に報告したい。
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.